LIBERWORKS COLUMN > コラム > FHIRってなんて呼ぶ?——放射線科は「HL7」と「DICOM」でつながっている

FHIRってなんて呼ぶ?——放射線科は「HL7」と「DICOM」でつながっている

放射線科で1件の検査が動くとき、情報は大きく2種類に分かれて流れます。ひとつは「誰を・何の目的で撮るか」という文字の情報、もうひとつは撮影された画像そのもの。この2つは、別々の標準規格に乗って院内を移動します。文字は HL7、画像は DICOM。そして最近よく耳にする FHIR(ファイア) は、そのHL7の新しい世代です。放射線科の検査の流れに沿って、順に見ていきます。

① カルテからRISへ——ここは「HL7」

はじまりは、医師が電子カルテやオーダリングで「胸部CTを撮って」と指示を入力するところ。この検査オーダ(患者情報・依頼内容など)は、放射線科の受付・進捗を管理する RIS(Radiology Information System) へ渡されます。このカルテ/オーダリング → RIS の受け渡しを担うのが HL7(医療情報交換の標準規格。主に"文字・数値の情報"を扱う)です。誰にどんな検査をするか、というテキストの情報が、HL7のメッセージとしてRISに届きます。 → HL7とは/RISとは

② RISからモダリティへ——ここが「DICOM」の入口(MWM)

RISは受け取ったオーダを、こんどは撮影装置(モダリティ)へ「今日の撮影予定リスト」として渡します。この受け渡しに使われるのが、DICOMのMWM(モダリティ・ワークリスト) です。ポイントは、ここでHL7からDICOMへとバトンが渡ること。技師はモダリティの画面で患者を一覧から選ぶだけで、患者IDや検査内容が自動で入ります。手入力の取り違えを防ぐ、地味だけれど重要な仕組みです。 → モダリティとは/DICOMとは

③ 撮影後、画像は「DICOM」でPACSへ

撮影が終わると、画像は DICOM(C-STORE) で PACS(画像の保管・配信システム)へ送られ、読影医が呼び出して診断します。オーダから読影まで、文字はHL7、画像はDICOM、その境目をMWMがつないでいる——これが放射線科の情報の流れの骨格です。 → PACSとは

④ で、FHIRってなんて呼ぶ?

さて本題。FHIR は「ファイア」と読みます(炎の fire と同じ発音)。HL7が長年つくってきた情報交換規格の最新世代で、Webで当たり前に使われている技術(HTTPやJSON)を土台にしているのが特徴です。従来のHL7 v2は独特の記法で扱いに専門知識が要りましたが、FHIRは開発者にとって扱いやすく、システム同士を「つなぐ」ハードルが下がります。放射線科の文脈でいえば、①のカルテ↔RIS↔他システムのやり取り(=文字の情報)を、これからより扱いやすくしていく規格、という位置づけです。国が進める電子カルテ情報共有サービスなどでも、このFHIRの様式が使われる方向で設計が進んでいます。

なお、日本には SS-MIX2 という医療情報を標準形式で蓄積・交換する仕組みもあります。ただし施設によって整備・運用の度合いには差があり、実際に活用しきれているとは限らない、というのが現場感覚です。まずは「HL7の新世代がFHIR」という理解で十分です。

まとめ——2つの規格の"合わせ技"

・文字の情報(オーダ・結果)は HL7。その現代版が FHIR(ファイア)。·         画像は DICOM。RIS→モダリティの予定受け渡し(MWM)と、撮影→PACSの保存もDICOM。
・カルテ → RIS が HL7、RIS → モダリティ が DICOM。この境目を意識すると、放射線科の情報の流れがすっきり見えます。

 各規格の詳しい話は、用語解説や関連記事もご覧ください。
▶DICOM? HL7? 病院内システムで使われる通信のハナシ
▶CR? 単純撮影? CT? MR? モダリティって何? 医用画像のはじまりとDICOM通信規格

放射線科まわりのHL7/DICOM連携、開発でお困りですか?

カルテ↔RISのHL7連携、RIS↔モダリティのワークリスト(MWM)、PACS連携まで、規格の現場を知る技術者がご相談に応じます。
▶ 病院内システム開発(DICOM/HL7連携)について見る
▶お問い合わせは お問い合わせフォーム または 03-5225-6970(平日10:00-17:00)まで。