検査機器や健診システムを電子カルテと連携するには?——標準規格でできること
「うちの健診システムを電子カルテとつなぎたい」「検査機器の結果を手入力しているのを自動化したい」——現場からこうした声が上がったとき、まず知っておきたいのが「標準規格でどこまでできるか」です。実は、多くの連携は決まった“共通言語”の上で動いています。
連携の共通言語——HL7とDICOM
院内システム同士のやり取りには、標準規格が用意されています。中心となるのが HL7(エイチエルセブン。医療情報交換のための国際標準規格)です。オーダー(依頼)や検査結果といったテキスト・数値の情報は、このHL7でやり取りするのが基本です。
HL7には代表的なメッセージの型があります。たとえば検査や処置のオーダー情報は ORM、その結果は ORU といった形で、電子カルテから機器へ「これを検査して」、機器から電子カルテへ「結果はこうでした」と流れます。近年は FHIR(ファイア) という新世代の規格も普及しつつあり、Web技術に近い作りで扱いやすいのが特徴です。
一方、レントゲンやCT・MRIといった画像は DICOM(ダイコム。医用画像の保存・通信の標準規格)が担います。画像は容量も大きく専用の扱いが必要なため、テキスト系のHL7とは別系統で連携し、PACS(画像を保存・閲覧するシステム)と組み合わせるのが一般的です。
つまり、「依頼と結果はHL7、画像はDICOM」 が大きな見取り図になります。
次世代規格「HL7 FHIR」と「SS-MIX2」の重要性
近年、特に注目されているのが次世代規格「HL7 FHIR(ファイア)」です。従来のHL7に比べ、Web技術(REST API)を活用しているため開発の自由度が高く、電子カルテ内のデータをモバイル端末や外部アプリケーションで活用しやすくなるというメリットがあります。
また、日本独自の標準規格として「SS-MIX2(エスエスメミックスツー)」も重要です。これは厚生労働省の標準規格として普及しており、異なるメーカーの電子カルテ同士でも、処方情報や検査結果を共通形式で蓄積・交換するための基盤となっています。
「電子カルテ情報共有サービス」と医療DXの動向
政府が推進する「医療DX令和ビジョン2030」では、全国の医療機関で電子カルテ情報を共有するための基盤整備が進められています。その中核となるのが「電子カルテ情報共有サービス」です。
標準規格に基づいたシステム連携を行うことは、単なる院内の効率化に留まりません。他施設とのスムーズな情報連携を実現し、患者により質の高い医療を提供するという、大きな医療DXの枠組みに繋がっています。
標準規格でいけるケース、個別対応が要るケース
「◯◯を電子カルテと連携したい」というニーズは、健診システム、レセコン(レセプト computer=診療報酬請求システム)、検査機器、血圧計などのバイタル機器、予約システム、部門システムなど実に多様です。
このうち、HL7やDICOMにきちんと対応している製品同士であれば、標準規格の範囲で比較的スムーズにつながります。主要な機器やシステムの多くは、これらの規格に準拠しています。
ただし現実には、個別対応が必要になる場面もあります。
たとえば——
・機器固有のフォーマットでしか出力できない検査機器(独自のCSVやテキスト形式など)
・規格には準拠していても実装の解釈に差があり、そのままではかみ合わないケース
・古い機器や小規模な専用システムで、そもそも標準出力を持たないもの
こうした場合は、間に変換の仕組み(インターフェース)を挟んで、機器の出力を電子カルテが受け取れる形に“翻訳”します。ここが受託開発の出番になります。
連携で変わる現場の業務効率とミス防止
システム連携が実現すると、これまで検査機器の画面から読み取って電子カルテに手入力していた作業が完全に自動化されます。これにより、繁忙期の事務負担を大幅に軽減することが可能です。
さらに重要なのが、転記に伴うヒューマンエラーの防止です。数値の読み間違いや入力ミスがなくなることで、情報の正確性が担保され、医療安全の向上にも直結します。リアルタイムで情報が反映されるため、診察の待ち時間短縮にも寄与します。
つなぐ前に確認したい3つのこと
連携を検討する際、機器の相性以上に見落とされがちなのが、次の3点です。
1. コード体系の整合
検査項目や病名などは、システムごとにコード(識別番号)の付け方が異なることがあります。「同じ血糖値なのに、送る側と受け取る側でコードが違う」と正しく紐づきません。標準コードへのマッピング(対応づけ)が必要になります。
2. 患者IDの取り扱い
複数のシステムをまたぐと、同じ患者を一意に特定できるかが重要です。健診システムと診療系でID体系が別、というのはよくある話。突合のルールを事前に決めておく必要があります。
3. 既存システムとの整合
新しい連携を足すとき、電子カルテや既存の院内システム(HIS)側の設定・運用と矛盾しないかの確認は欠かせません。片方だけ最適化しても、全体が回らなければ意味がないからです。
このあたりの勘所は、HL7の解説ページもあわせてご覧いただくと、イメージがつかみやすいはずです。
まずは「自分のケース」を相談するところから
標準規格で素直につながるのか、個別対応が要るのか——これは対象の機器・システムと、既存環境の組み合わせによって変わります。カタログ上「HL7対応」でも、実装の細部まで見ないと判断できないことも少なくありません。
だからこそ、「これはつながる案件か?」を早めに切り分けることが、遠回りを避ける近道です。
「うちのこの機器はどうだろう?」といった段階でのご相談も歓迎です。
医用画像・院内システムの連携でお困りの際は、病院・医療機関向けの受託開発のご案内もあわせてご参照ください。
▶お問い合わせは お問い合わせフォーム、またはお電話 03-5225-6970(平日10:00-17:00)まで。