DICOM? HL7? 病院内システムで使われる通信のハナシ
放射線科で1枚のCT画像が撮影されてから、医師がモニタで読影するまで。その裏では、いくつもの「システム」と「通信規格」が、まるでリレーのようにバトンを渡し合っています。登場人物が多くて、どれが何をしているのか分かりにくい——。この記事では、病院内で情報がどう流れているのかを、はじめての方にもわかるように整理します。
検査の情報は、こう流れていく
まず、検査ひとつをたどってみましょう。医師が検査を指示するところから始まります。
オーダリング(HIS)——「検査してください」の起点
医師が「胸部CTを撮って」と指示を入力するのがオーダリング(検査や処方の指示を電子的に出す仕組み。医事会計なども含めた病院全体の情報システムをHISと呼びます)。ここが情報の出発点です。
→ オーダリングとは
RIS——放射線科の司令塔
オーダは放射線科のRIS(Radiology Information System=放射線部門の予約・受付・進捗を管理するシステム)へ渡ります。RISは「どの装置で、いつ、誰を撮るか」を差配します。
→ RISとは
モダリティ——実際に撮影する装置
CT・MR・CRといった撮影装置を総称してモダリティと呼びます。RISからの指示を受け、実際に画像を生み出す現場です。
→ モダリティとは
検像(画像QA)——送る前の品質チェック
撮影した画像を保管庫へ送る前に、位置ずれや写損がないかを確認する工程が検像です。地味ですが、後段の読影の質を支える大切な関所です。
PACS——画像の保管庫
チェックを通った画像はPACS(Picture Archiving and Communication System=医用画像の保管・配信システム)に蓄積されます。
→ PACSとは
読影——医師が画像を診る
最後に、放射線科医がPACSから画像を呼び出して所見をまとめます。ここでリレーは一区切りです。
・DICOM(ダイコム)は、医用画像そのものと、その付帯情報を扱う世界標準。モダリティ→検像→PACS→読影という「画像の流れ」を支えます。画像1枚には撮影条件や患者情報がタグとして埋め込まれており、これもDICOMの仕組みです。 → DICOMとは/DICOM画像タグとは
・HL7(エイチエルセブン)は、オーダや検査結果といった文字の情報をシステム間でやり取りする標準。近年はWeb技術に沿ったFHIR(ファイア)が電子カルテ連携の主役になりつつあります。オーダリング→RIS→電子カルテという「情報の流れ」を支えます。
→ HL7とは
ざっくり言えば、画像はDICOM、情報(指示・結果)はHL7。この2本立てで院内はつながっています。そして、規格どうしを実際に噛み合わせる約束事を定めているのがIHEという枠組みです。
→ IHEとは
まとめ——全体像がわかると、つまずきどころも見える
オーダリング→RIS→モダリティ→検像→PACS→読影。この流れを、画像=DICOM/情報=HL7が支えている——まずこの地図が頭に入れば十分です。実際の開発現場では、装置ごとのDICOMの「方言」や、電子カルテとのHL7連携でつまずくことが少なくありませんが、それはまた別の記事で。
各アクターの歴史や仕組みは、以下の記事でも掘り下げています。
▶ CR? 単純撮影? CT? MR? モダリティって何? 医用画像のはじまりとDICOM通信規格
▶ 放射線科システムの歴史:RIS・PACS・オーダリングはどうつながっているのか
▶FHIRってなんて呼ぶ? 病院内での撮影リクエスト、HL7ってなんだ?
院内システムのDICOM/HL7連携を、開発として検討している方へ。
医用画像に黎明期から携わり、IHE-Jで標準化の現場に関わってきた技術者が、規格対応から実装までご相談に応じます。
▶病院内システム開発の詳細を見る
▶お問い合わせは お問い合わせフォーム、またはお電話 03-5225-6970(平日10:00-17:00)まで。